タリバンとは何か

アフガニスタン現政権がタリバンとの和平に乗り出したのが公然化。タリバンとの和平は現政権の都合でもあるが、米国の撤退予定・出口戦略から「逆算」されたもの。いわば、米国の都合の産物でもある。はたして和平は、アフガンの安定化と復興のためになるのか。
タリバンとの和平や、アフガン安定化の問題を考える上で重要なのは「タリバンとは何か」ということだ。そもそもどんな相手と、どの範囲の相手と、和平をするのか?和平の是非は別にしても、そこは重要なポイントだ。
タリバンによる無差別テロ、人権侵害は明白だが、「敵を単純化」するのではなく、冷静に分析することは重要だ。なぜなら現在パンジャビー・タリバンなど、パキスタンで様々なタリバンが跋扈している状況は、タリバン=「辺境の無知蒙昧な原理主義者」という単純化した見方では説明できないからだ。
たとえば、アルカイダとの区別は、米国も持ち出している論点だが、その上に、部族文化、地域事情、ムジャヒディーン、イスラム教等々の様々な「分析軸」がある。このような軸を押さえ、タリバンとは何なのか、冷静に見極めることが、アフガンの安定化と復興へ向けた足がかりとなる。