南米が世界の一極になるか

先月、ボリビアではようやく政府や反政府勢力が新憲法国民投票に合意しました。新憲法を問う国民投票は来年の1月25日。そこで承認されれば、大統領と議会の選挙が早くて来年12月に行われる可能性もあります(順調にはいかないでしょうが、、、)。

ところで、08年9月29日、前々回の記述で、「欧米諸国はボリビアの動きは南米のキーであるという位置づけで重要視…」と書いたのをちょっと補足しようと思います。ボリビア以前に、なぜ、南米は注目されるかという点です。

端的に言えば、それは南米(または中南米)がEUのような世界の一極になる可能性を持っているからです。EUが世界の一極をなす勢力であるように、です。もちろん、これには米国がどう立ち回るかが大きく影響しますが。

考えれば当たり前なのですが、南米(または中南米)には、EU以上に有利な基盤であるスペイン/ポルトガル語という言語がありますし、歴史的にも連合を試みる動きがありました。他の地域に比べれば、勢力としてまとまる可能性は大きいでしょう。さらに、この地域は経済力、人口等、ポテンシャルが大きく、連合が実現すれば世界の一極として大きな力を持つ可能性があります。

これからは、米国の一極支配は揺らいでいくと言われますが、様々な意味で、それを先取りしていたのが近年のラテンアメリカの動きだと思います。米国は「裏庭」としてこの地域を重視するわけです。しかし、米国のヒスパニック人口が急増するなか、ひょっとして、近い将来、この「新南米勢力」に逆に米国が「飲み込まれる」ことだってあるかもしれない…。

ボリビアは今の南米の動きを最も象徴していると、ある研究者が言っていました。南米の試験紙であり、新しい動きの実験場でもあるのがボリビアではないか、ということなのです。