ボリビアへの米国関与

現在ペルー北部アマゾンのタラポト滞在中。
さて、久しぶりにボリビアについて。コビーハでの争乱などが起きていますが、モラレス大統領が国外退去させた駐ボリビア米国大使について興味深い記事がありました。この情報源は田中宇氏のメルマガで知ったのですが、以下のウルクネットです。
http://www.uruknet.de/?p=m47392&hd=&size=1&l=e
田中氏の記事は http://tanakanews.com/080928UN.htm
ウルクネットによれば「フィリップ・ゴールドバーグ(Philip S. Goldberg)駐ボリビア米大使は、2007年始めに着任する前にはコソボの米代表事務所責任者だった。彼はコソボセルビアから独立させるため、軍事組織KLA等への工作に関与していた。ボリビアでは、ゴールドバーグは情報機関を使い東部の反政府右派勢力をサポートしていた」とのこと。
この大使のバックグラウンドを知らなかったのですが、これは興味深い記事でした。私としては、米国が反政府勢力にどう関わっているのか知りたくても、実情を知るのは難しかった。具体的に指摘できたのは、キューバからボリビアに派遣されている医師を米国亡命させようと動いている、とかくらい。これは実際に亡命した医師がいて、それなりの手配や工作がされたのは当然です。
ただし、田中氏は東部の「独立」に言及しているが、今のところ東部「独立」はコソボと条件がかなり異なります。まず現状では反政府勢力に軍事的な基盤がない。歴史的に見ても分離独立の主張は東部住民にとっても相当抵抗がある。東部内の大方の人間も米国に利用されるのを良しとはしない。東部のどの地域の「独立」なのかも問題で、よほど追いつめられた状況でなければ独立で東部がまとまるのは無理だろう。周辺国・南米諸国の反対も強いだろう。つまり米国の反政府勢力への関わりは単純に独立を目指すだけではない、ということです。
外交関係でなるほどと思った情報をもうひとつ。元某大使館関係者から聞いた事だが、欧米諸国はボリビアの動きは南米のキーであるという位置づけで重要視し、研究者等優秀な人材をボリビアに投入しているとのこと。
日本がJICAの活動で、南米で最も力を入れている(金も投入されている)のがボリビアです。前回のボリビア大統領選挙では日系人候補が旧与党MNRから出馬しています。日本とボリビアの関わり方が、もっと日本に報道されても良いのではと思います。