重要なのは、経済なのか政治なのか

12月の大統領選挙に向けて、エボ・モラレス大統領が選挙運動を始めた。現状では反大統領派が結束できず、モラレス大統領が当選する可能性が大きい。
反大統領派の拠点、東部サンタクルス県にいた時、興味深い話を聞いた。山岳部から東部低地に移住した先住民系小規模農民の間に、現政権に対する不満が広がっているという。(自給自足ではない商品作物をつくる)農業をしようにも、現政権の政策が障害になるのだ。経済がうまくいかなければ、いかに先住民の支持がある現政権だろうと、民心は離れていくのではないか。
この辺を、ラパスにいる研究者に聞いたところ、経済作用と政治作用のせめぎ合いは、いまだ後者が優位という状況ではないか、とのこと。
これはどういうことか。つまり、まだ今のところ、先住民初の大統領という政治作用、その吸引力が強い状態で、経済作用がネガテティブに働いていても、それを越えて政治作用が強い状態だという。これは、ある意味、歴史的な大きな波が来ている状態で、俯瞰した歴史の流れの中では重要な転換点として刻まれるかもしれないと。
ところで、この波が逆転し、経済作用が優位になることはあるのか。資源価格がさらに低迷し、さらに非公式のコカやコカイン等のアングラ経済が勢いを失えば、現政権でも持ちこたえられない可能性はある、そうだ。